20年以上地方に携わっている著者が、地方衰退の構造と地域再生の提言をストーリー形式でおくる一冊。
著者の木下斉さんは、20年以上地方の「まちづくり」に携わる仕事に取り組み、
その経験を活かして地方政策に関する著作を多く発表されています。
自分も以前に何冊か購入して、自治体主導のゆるキャラやB級グルメ施策への疑問や補助金制度への批判など、明快な説明に興味を惹かれ、新書が出る都度購入するようにしています。
最新作の「凡人のための地域再生入門」ですが、小説形式で書かれているのが特徴です。
これまでと同様に、衰退する地方の構造と再生への手法について論理立てて説明されているのに加えて、物語という形式によって、経営や事業の立ち上げの過程で生じる人間関係や、感情の揺らぎが露わになる様子がリアリティを持って読者を惹きつけます。
他の方のレビューを見ると、実際に地方で当事者感を持って活動している方は、「自分も同じ様な経験をした」とか「地方にはよくある話」と現実味を帯びた物語として捉えられている事が
わかります。
本書を読んで一番良かった事は、「地方の現状や解決方法のヒントがわかった」事ではなく、上記の様な当事者性を持って行動しないと決して自らの住む地域が良くなることは無いと気付けた事でした。
自分の様な「凡人」に動くきっかけをくれた様な気がする本書、地域再生に興味がある方はもちろん、新しく動き始めたい方にも是非おすすめします。