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止まらないガム離れ

 

ガムの売上高低下が止まらないそうです。

日本チューイングガム協会によると、2017年のガムの小売金額は1005億円で、2007年の1677億円から約40%減少しています。

昨年もグリコが「キスミント」の販売を終了したり、九州グリコの佐賀工場を閉鎖したりと、
暗いニュースが続いています。

人口減少や少子高齢化などが原因で菓子類全般の売上高が減少しているかと思いましたが、
そうでも無く、例えば飴菓子などはわずかではありますが売上高は伸びています。
(グラフは「日本チューインガム協会」と「e-お菓ねっと」の統計を参考に作成)

 

ガム離れの要因として

喫煙率の低下
→喫煙後の口臭対策としてのガムの需要が低くなった

車離れ
→若者を中心とした車離れにより、ドライブ中の眠気覚ましや時間潰しで
 ガムを噛まなくなった

タブレットやグミなどの競合の登場
→ガムは噛んだ後の処理に手間がかかり、タブレットなど手軽なものに移行

スマートフォンの普及
→スマホに夢中でレジ前に陳列されている衝動買いを目的としたガムに目が
 映らない

などの理由が考えられているようです。

個人的にも2000年代前半はコンビニのエンドコーナーは豊富な種類のガムが陳列されていた記憶がありますが、現在はタブレット+ガムでコーナー展開されている事が多く、ガムの種類も
少ない様な気がします。

上のグラフを見ると2000年代前半に一時的ではありますが、ガムの小売金額は伸びています。
その要因の一つにキシリトール入りガムの存在が考えられます。

キシリトールは虫歯を予防する甘味料で、明確なマーケティング戦略の元、日本に定着した食品素材ですが、マーケティングを仕掛けた方が書いた書籍「99.9%成功するしかけ」には
キシリトール導入までの経緯とともに当時のガム市場にも触れられています。以下興味深い所を引用します。

2005年時点でガム市場におけるキシリトールガムのシェアは80%

「キシリトールのある生活の提案」を仕掛けた
例)「車の中に置いてある」「深夜にネットをしながらかむ」
  「会社でサラリーマンやOLが眠気覚ましにかんでいる」
  「禁煙中に一石二鳥でキシリトールガムをかむ」

上記の生活の提案の結果、キシリトールガムがライフスタイル化して、
その結果従来では考えられなかったボトル入りガムが普及した。
(2002年に発売され、2004年にはガム全体の66%のシェアを占める)

上記の内容とグラフから、「キシリトール+ボトル入りガムの普及によって、一時的にガム市場全体が成長したが、その後ライフスタイルの変化(喫煙、ドライブの減少)やガムの
扱いづらさ、代替品の成長など様々な要因が重なってガムの消費が減少している」と言えそうです。

市販されているガムの殆どはキシリトール入りで、虫歯の予防を促進するという側面からは市場の成長は見込めないと思います。かつてがキシリトールが市場を創ったような、
新しいビジネスモデル、スタイルの提案が待ち望まれます。